エレクトロニクス高品質スクリーン印刷の基本とプロセス適正化手法

スクリーン印刷のプロセス技術としての特長やその適用工法、そしてそのメカニズムやプロセスの適正化の手法をわかりやすい理論に基づいて解説!

エレクトロニクス高品質スクリーン印刷の基本とプロセス適正化手法

〜最新プリンテッドエレクトロニクスへの応用展開〜 ※手刷り実演付

主催:R&D支援センター

日時:2012年7月27日(金) 10:00〜16:30

【講座のポイント】
 スクリーン印刷は、60年以上の長きにわたり、エレクトロニクスの製造プロセスとして広く利用されてきた。当初は、ナイロンやポリエステルの合成繊維メッシュや金属繊維の200メッシュ程度の粗いスクリーン版が使用されていた。近年、セラミック部品、タッチパネル、太陽電池などの分野で500メッシュ以上のステンレスメッシュが使用されるようになってきた。

 オフセット印刷グラビア印刷などの一般の印刷技術は「刷版」と「インク」の性能向上でその印刷品質を向上させてきた。印刷とは、先ず「刷版」の性能が向上し、それに合わせた印刷性の高いインクが開発され、それぞれの印刷品質を向上させるものである。このことはスクリーン印刷においても同様であり、「刷版」であるスクリーン版の主要素であるメッシュ材料の技術進歩により、その印刷品質を向上させてきたことは自明のことである。

 しかしながら、スクリーン印刷は、他の印刷工法に比べ非常に汎用性が高く、「初期に高度な適正化をしないでもある程度の印刷品質が得られた。」ため、要求レベルが高くなるに従い歩留り低下を引き起こしネガティブなイメージも広まった。このような、適正化が不十分なプロセスでの印刷結果から、スクリーン印刷そのものの技術ポテンシャルが過小評価されてきたケースが非常に多い。スクリーン印刷も、当然のことながら先ず「刷版」の高品質化、適正化が重要であり、次にインク(ペースト)を高度に適正化していくという考えかたをすべきである。実際の印刷品質の均一性と安定性向上の為には、高品質なスクリーン印刷の基本を理解してプロセスを正しく構築することが重要である。

 ファインライン印刷の為のスクリーンメッシュの条件とは、メッシュ線径が細いこととメッシュ数が多いことである。しかしながら、同じ材質の線材を使用すると、メッシュ数が多くなっても線径が細いためその強度が低下する。このことが、スクリーン印刷でのファインラインの量産印刷が困難であると思われてきた大きな理由である。

 2010年、従来の3倍の強度を有する超高強度ステンレスメッシュが開発され、スクリーン印刷の長年の課題であった「版離れ」と「版伸び」の問題が解決できた。誰でもが高品質なスクリーン印刷を実践できる環境が整ったと言える。スクリーン印刷は新しい時代に突入した。

 最新の印刷技術によって、エレクトロニクス製品を製造し、コスト低減と低環境負荷を両立できる「プリンテッドエレクトロニクス」が注目されている。将来の「プリンテッドエレクトロニクス」の量産プロセスの80%は、高品質のスクリーン印刷が担うと考えられる。

 同講師は、2000年より、スクリーン印刷のコンサルタントとして、数々のクライアントに協力し、適正な技術を有効に使いこなす「ペーストプロセス」の考え方やその実践の方法を広めてきた。スクリーン印刷でも「こう考えれば簡単、こうすれば高品質」という手法が明確に存在するのである。スクリーン印刷を難しく考え「職人芸的な手法が必要、適正化が困難」と考えてしまうと、その対策のために不必要で高価な装置や資材などに手を出してしまうことになる。

 エレクトロニクス分野での実績から、印刷の中でも、スクリーン印刷が最も安定で実用性が高い工法であることは間違いないことである。それは、均一な厚さで張力を有するメッシュと弾力性のあるスキージを使用するという、スクリーン印刷そのものの原理によるものである。

 つまり、第一に装置コストや製版コストの廉価さ、第二に適用工法の広さや印刷できる機能材料の種類の多さ、第三に工程能力の高さである。スクリーン印刷は、適正な版とペーストがあれば30μmラインも手で刷れるほど、工程能力が高いプロセスである。

 本講演では、スクリーン印刷のプロセス技術としての特長やその適用工法、そしてそのメカニズムやプロセスの適正化の手法をわかりやすい理論に基づいて解説する。

 さらに、最新のプリンテッドエレクトロニクスでの具体的な応用例と実践方法についても詳しく解説する。

 最後に30μmのファインラインの手刷りを、受講者全員に体験をしてもらう。

【プログラム】
1.ステンレスメッシュ開発の歴史とスクリーン印刷の技術進歩
  ・欧米は、日本の20年前の技術レベルの「第一世代」のまま
  ・日本でも、未だに多くの技術者は、「第一世代」の考え方で対処
  ・スクリーン印刷「第一世代」プリント基板 HIC, チップ抵抗
          「第二世代」MLCC PDP LTCCでの進歩
          「第三世代」プリンテッドエレクトロニクスの主要プロセスへ

2.エレクトロニクス分野におけるスクリーン印刷技術
  2-1.なぜ、スクリーン印刷が最も実用的な印刷工法と言えるか
  2-2.エレクトロニクス分野でのスクリーン印刷の8つの適用工法

3.スクリーン印刷の基本原理は、スクリーン張力による「版離れ」
  3-1.なぜ「コンタクト印刷」では、にじむか:ロータリースクリーン印刷の課題
  3-2.30μmラインが手でも刷れる理由:印刷条件は四つだけ、適正範囲も広い
  3-3.スキージが最も重要な印刷条件の要素:理想のスキージ形状とは
  3-4.スクリーンメッシュの開口率と印刷品質

4.スクリーン印刷の四つのメカニズムの理解
  4-1.「 ローリング」均一性の絶対条件:ペーストの弾性特性がローリング性を決定
  4-2.「充てん力」が印刷解像性を左右する:スキージ角度の重要性
  4-3.「版離れ」がスクリーン印刷の最大の特長:メッシュ強度と寸法精度
  4-4.「レベリング」のメカニズムと粘弾性の回復:基板界面との濡れ性

5.スクリーン印刷の三つの要素の適正化手法と「標準化」
  5-1.四つの印刷パラメータの適正化
  5-2.スクリーンメッシュ、版仕様の適正化と「標準」
  5-3.スクリーン版の製作方法:コツは、完全密着露光とミスト現像
  5-4.ペーストレオロジ(粘弾性)の理解:「粘弾性マップ」の読み方
  5-5.スクリーン印刷の「標準化」:「高度な適正化」→「標準化」

6.高品質スクリーン印刷プロセス実践のための品質向上の手順
  6-1.印刷均一性を阻害する要因とその対策手法
  6-2.寸法精度向上のための対策手法
  6-3.印刷解像性向上のための対策手法
  6-4.印刷膜厚整合のための対策手法
  6-5.スクリーン印刷における具体的な不具合対策
    ・スクリーン版の洗浄方法、裏拭き方法、不具合版の見分け方

7.最新のプリンテッドエレクトロニクスでの応用例
  7-1.プリンテッドエレクトロニクスとは
  7-2.高歩留りビア埋め印刷技術(ボイドフリー)
  7-3.タッチパネル50/50μm印刷
  7-4.二版二層印刷、太陽電池フィンガー電極他、電極/絶縁2層印刷
  7-5.有機トランジスタアレイ 電子ペーパー用バックプレーン製作

8.ファインラインパターンの手刷り実演、体験
    *30μmファインライン印刷

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