固体NMR法の基礎と応用

固体NMR法について溶液NMR法との違いや実際の測定の注意点など基礎からポリマーアロイ、ブレンド有機/無機複合体への応用まで詳解!

固体NMR法の基礎と応用

〜高分子複合材料の緩和曲線解析を中心として〜

主催:R&D支援センター

日時:2012年9月24日(月) 12:30〜16:30

【習得できる知識】
固体NMR法の基礎と溶液NMR法との違い。実際の測定の注意点。
応用面としてポリマーアロイ、ブレンドの相溶性解析を中心にしたモルフォロジー解析。
緩和曲線の解析法など。

【講座の趣旨】
 固体NMR法の特徴を基礎から応用にかけて講述します。溶液NMR法と比較して固体NMRスペクトルを観測する上で必要な知識を講演し、実際に測定する時に役立つヒントが得られます。特に、緩和時間の種類と測定に関する注意点、緩和時間から得られる情報と緩和曲線の解析方法について詳細に解説します。
 応用編ではポリマーアロイ、ブレンド有機/無機複合材料の、相溶性の評価や相分離構造評価、相互作用の有無、分子運動性評価について、固体NMR法を用いて行う手法を紹介します。
 固体NMR法の得意分野、不得意分野を簡便に解説します。固体NMR法を用いた初歩的な測定法を紹介し、初歩的な測定でポリマーアロイ系に適用した場合、どこまでわかるのかを紹介します。ドメインの大きさを解析する際に重要な概念である1Hスピン拡散現象を解説し、緩和時間の変化や緩和曲線の解析法について詳述します。
 その後、実際のポリマーブレンドへの適用例や有機/無機複合体への応用を解説します。主に13C NMRの測定から高分子の構造を解析する手法について詳述します。
 ゴム材料については、主に1H MAS NMR法を用いた解析について解説し、エポキシ樹脂の水中での硬化反応の反応速度解析についても紹介します。

【プログラム】
第1部:基礎編
1.固体高分解能NMR法の基礎と特徴
  1-1. 溶液NMR法との違い
  1-2. MAS法とCP法
  1-3. きちんと測定するための知識(チューニング、温度、デカップリングなど)
  1-4. 緩和時間とスピン拡散(測定法と注意点)
  1-5. 結晶相の比率【T2H、T1C、CPMAS法、DDMAS法】結晶相と非晶相の分離、運動性の違いによるスペクトルの変化)
  1-6. 結晶多形(スペクトルの変化)
  1-7. スペクトルならびに緩和曲線の解析法(波形解析ならびに1Hスピン拡散)
第2部:応用編
2.ポリマーアロイ・ブレンドの相溶性
  2-1. 相溶性解析(PC/PMMA、PS/PVME、PI/PB)
  2-2. 相溶性と相分離過程(PS/PVME、PVPh/PEO、PMLG/PVP
  2-3. 相溶性と分子運動、熱安定性、相互作用(PHEMA/PMAA、PMAA/PVAc)
  2-4. 結晶相の構造変化と非晶相の吸湿効果:衝撃力との関連性(PK/nylon6)
3.有機/無機複合体
  3-1. 常磁性緩和の利用(PVA/montmorironite)
  3-2. 高分子/粘土鉱物複合体のモルフォロジー(nylon6/montmorironite)
  3-3. 結晶相と相溶性(PVIBE/ε-PL/saponite)
4.ゴム・エポキシ樹脂
  4-1. 高速MAS下での 1H NMRスペクトル(SBR/Siコンポジット)
  4-2. 水溶性エポキシ樹脂の反応過程(PGPE/ε-PL)
  4-3. 静止状態固体13C NMRスペクトル(未架橋天然ゴム)

(質疑応答・名刺交換・個別相談)