ポリマーアロイにおけるナノ構造制御と評価方法

ポリマーアロイ・ブレンドにおけるナノレベルの高次構造制御技術とリアクティブプロセッシングを詳解!新規高分子・素材開発のための必須講座!!

ポリマーアロイにおけるナノ構造制御と評価方法

主催:R&D支援センター

日時:平成22年3月29日(月) 10:30〜16:00

第1部 ポリマーアロイの基礎と新規ナノ高分子への展開

《講座趣旨》
ポリマーアロイはブロック共重合体とポリマーブレンドから成り立っている。それぞれの合成と構造と物性について,具体例を示しながら基礎概念を概説し,基礎概念から"はみ出た"特殊例も紹介する。ポリマーアロイの高次構造の形成法と制御法をナノ材料へ展開する概念を提示し,高分子の選択的完全分解性を利用した新規ナノ材料の作製法も紹介する。

《プログラム》
1.ポリマーアロイの基礎
  1.1 ポリマーアロイの定義

2.ブロック共重合体のミクロ相分離構造
  2.1 リビングアニオン重合による分子設計
  2.2 線状ブロック共重合体:光記憶素子を例に
  2.3 分岐ブロック共重合体:ブロックーグラフト共重合体を例に
  2.4 星型ブロック共重合体:ミクロ相分離構造の制御を例に

3.ポリマーブレンドの相溶性と非相溶性
  3.1 相図の熱力学的理解
  3.2 ポリマーブレンドの分類:熱測定
  3.3 相溶領域の拡大:光-レオロジー測定による流動誘起相溶性
  3.4 相溶性と非相溶性の一般化と特殊性:誘電緩和挙動
  3.5 動的構造の一般的理解と特殊性

4.ナノ材料への展開
  4.1 ミクロ相分離構造のナノ材料への応用
  4.2 高分子の選択的完全分解性のナノ材料への可能性
  4.3 ポリマーブレンドの新たな動的構造の可能性
  4.4 ポリマーアロイのナノ材料への新展開

【質疑応答・名刺交換】

第2部 固体NMR法によるポリマーアロイ・ブレンドのナノ構造評価

《講座趣旨》
ポリマーアロイ、ブレンド有機/無機複合材料の、相溶性の評価や相分離構造評価、相互作用の有無、分子運動性評価について、固体NMR法を用いて行う手法の紹介をします。固体NMR法の得意分野、不得意分野を簡便に解説します。まず、固体NMR法を用いた初歩的な測定法を紹介し、初歩的な測定でポリマーアロイ系に適用した場合、どこまでわかるのかを紹介します。ドメインの大きさを解析する際に重要な概念である1Hスピン拡散現象を解説し、緩和時間の変化や緩和曲線の解析法について詳述します。その後、実際のポリマーブレンドへの適用例や有機/無機複合体への応用を解説します。主に13C NMRの測定から高分子の構造を解析する手法について詳述します。

《プログラム》
1.固体高分解能NMR法の基礎
 1.1 CPMAS法とDDMAS法
 (結晶相と非晶相の分離、運動性の違いによるスペクトルの変化)
 1.2 緩和時間の測定法と注意点
1.3 スペクトルならびに緩和曲線の解析法(波形解析ならびに1Hスピン拡散)

2.ポリマーアロイ・ブレンドの相溶性
 2.1 相溶性解析(PC/PMMA、PS/PVME、PI/PB)
 2.2 相溶性と相分離過程(PS/PVME、PVPh/PEO、PMLG/PVP
 2.3 相溶性と分子運動、熱安定性、相互作用(PHEMA/PMAA、PMAA/PVAc)
 2.4 結晶相の構造変化と非晶相の吸湿効果:衝撃力との関連性(PK/nylon6)

3.有機/無機複合体
 3.1 常磁性緩和の利用(PVA/montmorironite)
 3.2 高分子/粘土鉱物複合体のモルフォロジー(nylon6/montmorironite)
 3.3 結晶相と相溶性(PVIBE/-PL/saponite)

【質疑応答・名刺交換】

第3部 ポリマーアロイのナノ構造制御とリアクティブプロセッシング

《講座趣旨》
2010年代に入り、ポリマーアロイ技術は「高度化された第三世代アロイ」から離陸して「第四世代アロイ」というべき水準に到達しており、高分子材料の開発においても必須の技術となっている。リアクティブプロセッシングの発展と新規高分子素材の展開とが相俟って、ナノレベルの分散粒子径制御も実施されつつある。これらの技術の応用においても、先ず基礎的なポリマーアロイの形成概念を理解することが重要である。本講では、ポリマーアロイの発展の歴史を辿りながら解析的な解説を試みる。

《プログラム》
1.高分子材料のモルフォロジー
 1−1.ミクロ構造とナノ構造
 1−2.モルフォロジーの観察測定とその評価
 1−3.モルフォロジーと材料特性・機能

2.モルフォロジーの制御
 2−1.ポリマーアロイの歴史と構造・物性の制御
 2−2.分散相の粒径の制御
 2−3.相溶化剤(相容化剤)選定の考え方
 2−4.ミクロ/ナノ構造制御におけるトップダウンボトムアップ戦略

3.リアクティブプロセッシング
 3−1.リアクティブプロセッシングのプロセス・反応制御
 3−2.リアクティブプロセッシングによる材料設計
 3−3.リアクティブプロセッシングにより形成されるナノ構造

4.モルフォロジー制御手法の展開
 4−1.最近のモルフォロジー制御手法の展開
 4−2.次世代ポリマーの可能性