金属材料の水素分析手法と水素脆性の基礎

金属と水素の物理化学的相互作用の基礎を平易に解説し,金属材料中の水素分析方法を詳解!

金属材料の水素分析手法と水素脆性の基礎

主催:R&D支援センター

日時:平成22年9月29日(水) 12:30〜16:30

≪講座のポイント≫
(1)省エネルギー,省資源,CO2を含む環境有害物質排出問題などの環境問題を解決するため,材料を高強度化し,自動車を中心とした輸送機器の軽量化が求められている.しかし,材料を高強度化するほど水素脆化感受性が高まり,突然の破壊が危惧される.

(2)次世代エネルギーの主役と期待される水素による燃料電池システムの普及が急がれている.それに伴い,燃料電池自動車に搭載される高圧タンク内は350気圧から700気圧水素,水素供給ステーションではそれ以上の高圧水素に材料が曝され,ますます過酷な水素環境で材料が使用される傾向にある.そこで,水素エネルギー社会用インフラ材料の安全性・信頼性の確立が急務である.

(3)本講演では,金属と水素の物理化学的相互作用の基礎を平易に解説し,金属材料中の水素分析方法の特徴・注意点、これまで報告されてきた水素脆性に関する基礎を理解した上で,各材料と水素の研究へ発展させることを目的とする.

≪プログラム≫
1.金属と水素の物理化学的性質の基礎事項
  1-1 金属(bcc,fcc,hcp)中の水素の固溶
  1-2 金属表面での水素の吸着、侵入過程
  1-3 金属中の水素拡散
  1-4 金属中の水素トラップサイト

2.水素分析方法の特徴・注意点
  2-1 昇温脱離法
  2-2 水素可視化方法

3.これまでの水素脆化カニズム
  3-1 内圧説
  3-2 格子脆化説
  3-3 局部変形助長説
  3-4 空孔凝集説

4.金属中の水素存在状態と脆化メカニズム解明へ向けた最近の研究
  4-1 昇温脱離法によるbcc,fcc,hcp金属の水素放出プロファイル比較
  4-2 bcc金属(鉄鋼材料等)の水素存在状態と水素脆化
  4-3 fcc金属(ステンレス鋼、アルミニウム等)の水素存在状態と水素脆化
  4-4 hcp金属(チタン)の水素存在状態と水素脆化