炭素繊維を活用した水質浄化技術の基礎と応用

年々深刻になっている水の汚染に対応するためのセミナー。エネルギー不要、地球に安全な浄化技術、リンの除去回収技術を修得し、水ビジネスへ活かそう!

炭素繊維を活用した水質浄化技術の基礎と応用

共催:R&D支援センター

日時:2011年8月3日(水) 10:30〜17:30

[講師の言葉]
地球環境問題、現状は二酸化炭素ですが、次に来るのは「水」です。世界の水が危機状態にあり、環境水の汚染は年々深刻になっています。人間生活、産業活動に必要な水の確保は重要課題となってきました。

 炭素繊維を用いた水質浄化技術は、炭素繊維をドブに落としたことがきっかけで、誕生しました。炭素材料は、生物親和性に富み、微生物に快適な棲息環境となります。炭素繊維による水質浄化は、その土地の環境水に棲息する微生物を固着、増殖することによって行われます。特別の微生物は不要、微生物の地産地消です。エネルギーは不要。化学薬品は使用しない、地球に安全な方法です。最低のメンテナスで実施可能です。 

 炭素繊維は魚介類にも快適な環境を構築し、産卵場となります。魚類は、水草よりも炭素繊維に選択的に産卵します。海では海洋牧場を作り漁業資源の確保に貢献します。

 湖沼の水面が緑色、血の色になることがあります。富栄養化によるアオコやアカシオの発生です。炭素繊維のみでは、これらの発生を防止できません。炭素繊維と金属鉄とを接触させることで、水中に溶解しているリンを不溶性物質に変換する方法を開発し、これによって、アオコやアカシオの発生が防止できました。リンは日本では産出しない、全て外国から輸入しており、戦略物質の一つです。環境水中からリンを回収することで、我が国のリン資源の確保に役立ちます。

 本技術は、畜産環境の改善にも役立っています。排水中の汚濁物濃度の低下、排水の脱色および脱臭、リンおよび窒素濃度の低下などを実現しました。産業排水の分野でも利用されています。外国でも実証されています。

 本セミナーでは、実験を交えながら、炭素繊維による水質浄化技術、魚介類増殖技術についてご紹介することで、ご理解していただきます。

[プログラム]
1.炭素繊維とは
  1-1 炭素繊維の性質、特徴、構造、種類、
  1-2 水質浄化用炭素繊維の開発
  1-3 実験 炭素繊維の特徴を知る
2.環境水の現状
  2-1 日本の水と世界の水
  2-2 水質浄化技術の基礎
3.炭素繊維と微生物との不思議な関係
  3-1 大量固着現象の発見
  3-2 炭素繊維への微生物大量固着
  3-3 実験 炭素繊維の微生物大量固着
4.炭素繊維を活用する水質浄化技術
  4-1 急速浄化
  4-2 炭素繊維製水質浄化材の開発
  4-3 湖沼での水質浄化
  4-4 産業排水の水質浄化
  4-5 フィールドでの検証
  4-6 実験 炭素繊維による濁水の急速浄化
5.炭素繊維による魚介類増殖技術
  5-1 榛名湖でのワカサギ復活
  5-2 産卵場となる炭素繊維
  5-3 炭素繊維人工藻の開発
  5-4 淡水、汽水、海水での事例紹介
6.炭素と鉄で水中のリンの除去・回収
  6-1 アオコとの戦い
  6-2 アオコ発生防止材の開発
  6-3 フィールドでの実証試験(ゴルフ場池、公園池)
  6-4 アカシオ発生防止技術の開発
  6-5 回収物の資源化
  6-6 実験 炭素繊維と鉄によるリンの回収

7.畜産排水の浄化
  7-1 畜産排水の現状と対策
  7-2 排水の色
  7-3 スミテツ法の開発
  7-4 タカテツ法の開発
  7-5 開発した畜産排水浄化装置の紹介
  7-6 事例紹介
8.海外での取り組み事例
  8-1 中国での実証試験
  8-2 フィリピンでの実証試験
9.これからの展開