事故事例から学ぶ安全設計の考え方と活かし方
安全性を確保するための特別セミナー!様々な事故事例を基に、基本的なフェールセーフの考え方を学び、製品設計に活かそう!
共催:R&D支援センター
日時:2011年8月25日(木) 10:30〜17:30
[講師の言葉]
福島第一原子力発電所の地震・津波による事故は、我々技術に携わる者に、技術のあり方の抜本的な見直しを迫っている。
大切なことは、自分が設計・製造したものが、社会に役立つと同時にヒトを傷つけることがあるということを認識することである。
特に、モノをつくる側とそれを使う側とは空間的、時間的に距離があるので、ともすると設計者はそれを使うヒトの立場や状況に思いをはせないことが生じる。
大学等では、各工学分野毎に専門化した講義を受けているが、技術における安全性の問題を実設計との関係から学ぶ機会はそれほど多くはない。技術分野は多岐にわたっており、専門外の事故事例があってもその意味するところを正確に把握することが困難である。 海洋構造物や特殊作業用船舶の設計、原子力プラントの設計や構造強度関係の研究をしてきた経験と様々な事故事例の分析を基に、安全設計上の基本的なフェールセーフの考え方を中心に、主として工学系特に機械、船舶、航空機、土木・建築等広い分野における安全性の考え方を解説する。
[プログラム]
Ⅰ.設計とは何をすることか
1.設計仕様の設定・・・設計想定とは
2.ものづくりのプロセスと設計の位置づけ
Ⅱ.事故はどのようにして起きるか
1.モノの故障とヒトのミス【ヒューマンファクター(エラー)】
2.事故の進展と被害の拡大
Ⅲ.設計において事故はどのようにして防ぐか
1.危険源の同定
2.モノの故障とヒトのミス(フールプルーフとフェールセーフ)
3.事故の予防と事故の被害拡大緩和(プリベンションとミチゲーション)
Ⅳ.事故事例から学ぶ・・・様々な事例から学ぶことが大切
1.身近な機械の事故
a.六本木回転ドア事故・・・センサーと本質安全
b.エレベータ・エスカレータ・・・インターロックの欠陥
c.ジェートコースター・・・メインテナンスとフェールセーフ
2.鉄道事故
a.JR福知山線電車転覆事故・・・ヒューマンエラーとシステム安全/速度超過と転覆
b.地下鉄日比谷線脱線事故・・・低速における脱線
c.新幹線脱線事故・・・鉄道のシステム安全と地震対策
3.航空機および宇宙航空事故
a.人類初のジェット旅客機“コメット機”墜落事故・・・モックアップ試験の難しさ
b.日航ジャンボ機御巣鷹山墜落事故・・・フェールセーフの破綻
c.エアバス名古屋空港墜落事故・・・自動化は安全か
d.スペースシャトル“チャレンジャー号”と“コロンビア号”事故・・・リスク情報
4.船舶・海洋構造物事故
a.第十雄洋丸衝突事故(東京湾炎上)・・・交通機関の運動性能
b.浮遊式石油掘削リグ“アレキサンダー・キーランド号”と“オーシャンレンジャー号”
c.メキシコ湾石油流失事故・・・海底1500mでの事故
5.回転機械の事故
a.大型蒸気タービン爆発事故・・・材料の欠陥と重心調整のミス
b.第二福島原発3号機再循環ポンプ疲労破壊事故・・・溶接構造物に疲労
c.ABWR型原子力蒸気タービン疲労破壊・・・非定常時の流体振動と共振
6.建築・土木構造物の事故
a.タコマ橋崩壊・・・カルマン渦と自励振動
b.“ハイアットリージャンシーホテル”崩落事故
7.原子力発電プラント事故
a.スリーマイル原発事故 ・・・多重故障とヒューマンエラー
b.福島第二原子力発電事故・・・設計想定不備とフェールセーフ化の限界
Ⅴ.“安全を設計する”には
1.設計想定をどのように考えるか・・・自然環境条件と社会的条件
2.フェールセーフ化の追求と限界・・・“リスク”をどうみるか
3.技術者としての心構え