デンドライト発生メカニズムとリチウム二次電池正極の耐久性・安全性向上

電池の充電時に電極金属がデンドライト状に析出する現象の抑制と、正極材改質による電池容量増加と性能向上法を修得し製品開発に活かそう!

デンドライト発生メカニズムとリチウム二次電池正極の耐久性・安全性向上

共催:R&D支援センター

日時:2011年10月31日(月)10:30〜17:30

[講師の言葉]
高エネルギー密度二次電池の歴史においてデンドライトが実用化の阻害になった例は多い。リチウム電池のおけるデンドライトの発生は電池性能の劣化や安全性と密接な関係がある。現在盛んに研究開発が行われている電気自動車や発電装置では電池使用本数が多く、使用期間が長期であり電池使用環境温度が変化し大電流充放電を行う等、デンドライト発生の確率が高くなると予想される。リチウム電池におけるデンドライト発生機構、デンドライトと電池の信頼性の関係、対策などについて概説する。
 リチウムイオン二次電池は、エネルギー貯蔵デバイスとして年々発展を遂げているが、このデバイスの主要素材である正極材は、優れた特性を有する反面、さらに改善されるべき課題も有する。この課題の改善方法として表面改質がある。この方法によれば、材料粒子の表面のみの僅かな改質で粒子全体の特性を改善でき、弊害が少なく大きな効果を得ることができ、今後の電池の発展を支える重要技術である。本講座では、各種正極材について、それぞれの課題とそれに対応した表面改質技術について解説する。

[プログラム]
Ⅰ.リチウム二次電池用負極のデンドライド発生機構と安全性向上
  1.リチウムイオン電池実用化の歴史的経緯
  2.リチウムイオン電池の適用用途と市場の拡大
  3.デンドライトとは?
  4.電気めっきとデンドライト
  5.デンドライト発生メカニズム
    a.物理的条件の影響
    b.化学的条件の影響
  6.リチウム金属電池と安全性
  7.デンドライト抑制の基本的考え方
  8.市販リチウムイオン電池の安全性確保策
  9.市販リチウムイオン電池の安全性の現状とデンドライトの影響
  10.リチウムイオン電池におけるリチウムデンドライトの発生条件
  11.デンドライト抑制対策
    a.負極、
    b.電解液
    c.セパレータ
    d.電池構成
    e.充電制御
  12.リチウムイオン電池の今後の展開
  13.まとめ
Ⅱ.リチウム二次電池正極の耐久性・安全性向上・表面改質
  1.はじめに
    a.実用的表面とは
    b.正極材の表面改質の目的・効果
  2.LiCoO2の表面改質
    a.高充電圧化による容量向上
    b.活物質による被覆処理
     ・Li(NiCoMn)O2
     ・LiMn2O4
  3.金属酸化物による被覆処理
    a.ZrO2
    b.Al2O3
    c.MgO, TiO2, SiO2, ZnO
  3.LiNiO2の表面改質
    a.活物質による被覆処理 (Core-shell型活物質)
    b.金属酸化物による被覆処理
     ・ZrO2       
     ・TiO2        
     ・その他 
  4.LiMn2O4の表面改質
    a.活物質による被覆処理
     ・LiCoO2
     ・スピネル系活物質
    b.金属酸化物による被覆処理
     ・SiO2
     ・ZrO2, ZnO, CeO2
    c.導電性材料による被覆処理
  5. LFePO4の表面改質
    a.導電性向上技術の位置付け
    b.炭素質導電層の形成処理
    c.非炭素質導電層の形成処理
     ・金属材料導電層の形成処理
     ・リチウムイオン導電層の形成処理
  6.まとめ