水処理用高分子多孔膜の作製法および膜ファウリング低減手法の現状と展望【大阪開催】

浄水・排水処理プロセスに用いられる高分子多孔膜の基礎、相分離法による作成技術からRO膜(逆浸透膜)・UF/MF膜の開発動向、バイオファウリング低減手法まで速習!

水処理用高分子多孔膜の作製法および膜ファウリング低減手法の現状と展望

主催:R&D支援センター

日時:2012年3月6日(火) 13:00〜16:30

【講座のポイント】
 水処理に用いる多孔膜の作製方法について、様々な高分子材料や相分離法、延伸法などの手法について概説する。さらに相分離法(非溶媒誘起相分離法および熱誘起相分離法)による多孔膜の作製に関して、相平衡と動機力学に関する基礎的な原理から、中空糸膜作製の応用的な操作パラメータについて詳細に紹介する。

 また膜ファウリングは膜操作における最も深刻な問題の一つである。まず、RO膜およびUF/MF膜についてファウリング低減に関する世界の研究動向を紹介する。次に我々の研究室で検討を行っている膜構造と膜ファウリングの相関について解説を行い、ファウリングを有効に低減する膜構造を紹介する。

 さらに最近では特にバイオフィルムの形成に伴うバイオファウリングが大きな問題となっている。UF/MF膜へのバイオファウリング抑制手段として、我々の研究室で検討している銀ナノ粒子固定膜、四級アンモニウム基グラフト膜および両性イオン基グラフト膜についてそれぞれの特徴の解説を行う。最後にRO膜表面の改質に伴うバイオファウリング抑制手法についても紹介を行う。

【プログラム】
1.水処理で用いる高分子多孔膜作製の基礎
  1-1.キャスト法の概説
  1-2.界面重合法の概説
  1-3.延伸法の概説
  1-4.トラック・エッチング法の概説
  1-5.非溶媒誘起相分離法
    1-5-1.3種類の代表的な手法
    1-5-2.代表的な高分子、溶媒、非溶媒の組み合わせ
    1-5-3.相分離の基礎となるbinodal線およびspinodal線の解説
    1-5-4.中空糸膜作製の操作パラメータ
    1-5-5.瞬間的相分離と遅延型相分離の特徴
    1-5-6.溶媒選択の影響
    1-5-7.キャスト溶液組成の影響
    1-5-8. 高分子濃度の影響
    1-5-9.凝固浴組成の影響
  1-6.熱誘起相分離法
    1-6-1.熱誘起相分離法で用いられる代表的な相図
    1-6-2.熱誘起相分離法の利点
    1-6-3.熱誘起相分離法で用いる3つの相分離パターン
    1-6-4.溶媒の影響
    1-6-5.冷却速度の影響
    1-6-6.孔粗大化過程の動力学

2.膜ファウリング低減手法に関する世界の研究動向
  2-1.RO膜に関する開発動向
    2-1-1.新規界面重合法
    2-1-2.膜表面コーティング
    2-1-3.膜表面処理
  2-2.UF/MF膜に関する開発動向
    2-2-1.両性イオンポリマーのブレンドによるファウリング抑制の検討
    2-2-2.両性イオン基の膜表面への導入

3.膜構造と膜ファウリングの相関
  3-1.種々の膜構造を有する中空糸多孔膜の作製
  3-2.膜透過速度の低下に及ぼす膜構造の影響
  3-3.逆洗効果に及ぼす膜構造の影響

4.バイオファウリング低減を目指した研究紹介
  4-1.UF/MF膜に関する研究例
    4-1-1.銀ナノ粒子固定膜を用いたバイオファウリング低減効果
    4-1-2.四級アンモニウム基グラフト膜を用いたバイオファウリング低減効果
    4-1-3.両性イオン基グラフト膜を用いたバイオファウリング低減効果
  4-2.RO膜に関する研究例
    4-2-1.リゾチーム表面固定膜の作製方法
    4-2-2.RO膜表面のリゾチーム導入量の測定
    4-2-3.リゾチーム表面固定膜の抗菌性評価
    4-2-4.リゾチーム表面固定膜を用いた水処理実験
    4-2-5.水処理実験後のリゾチーム固定膜表面特性の詳細評価

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