無機ナノ粒子・フィラーの樹脂への分散・混合技術とナノコンポジットの簡易調製【大阪開催】

従来の分散法のメリット・デメリットを踏まえ、講師らの提案技術について具体的事例を挙げて紹介し、ナノコンポジットの各種特性についてもフィラー分散性との関係を中心に解説!

無機ナノ粒子・フィラーの樹脂への分散・混合技術とナノコンポジットの簡易調製

−水系・非水系における無機ナノ粒子の分散・凝集制御の基礎と応用−

主催:R&D支援センター

日時:2012年3月7日(水) 12:30〜16:00

【講座のポイント】
 樹脂の性能改善・新機能付与を目的として、高分子材料中への無機フィラーのナノ分散技術が注目されている。ナノ分散のための実用手法としては、溶融混練法や溶液混合法に代表されるブレンド法によるトップダウン型の直接分散法が主流であるが、分散性向上のためのナノフィラー表面の疎水化処理が不可欠とされている。これに対し、講師の研究グループでは、フィラーの表面改質処理を用いない樹脂中へのナノフィラー均一分散技術を提案している。

 本セミナーでは、従来の分散手法も簡単に概説した後、本題として、これらの従来法のメリット・デメリットを踏まえ、講師らの提案技術について具体的事例を挙げて解説する。本技術では、分散性を左右する因子の一つである溶融混練条件の最適化のみならず,高分子中へ添加するシリカフィラーの一次ナノ粒子の会合状態にも着目し,混練の前に無機ナノ粒子のコロイド水溶液の分散・凝集制御により強度・粒子配列構造を調整(「弱く」会合させた)無機ナノ粒子の集合体を予備調製しておき、これを溶融樹脂やワニス等の非水系マトリックスと混合・かく拌により複合化させる。

 そこで、非水系でのフィラーの分散・凝集の基礎に加え、DLVO理論やコロイド化学等の考え方を基に水溶液中での微粒子の分散・凝集現象の理解も目指す。さらに、本技術により調製したナノコンポジットの各種特性についてもフィラー分散性との関係を中心に解説する。

【プログラム】
1.無機ナノ粒子の特性
  1-1 ナノ粒子の一般的特性
  1-2 ナノ粒子の凝集特性
  1-3 水中におけるナノ粒子の分散・凝集挙動(DLVO理論等)
2.従来の有機・無機ナノコンポジットの調製法とその特徴
  2-1 In-Situ法
  2-2 層間挿入法
  2-3 微粒子直接分散法(ブレンド法)
3.微粒子直接分散法を発展させた新しい有機・無機ナノコンポジット調製法
  3-1 調製法の概略・コンセプト
  3-2 無機ナノ粒子多孔質集合体の調製方法
  3-3 無機ナノ粒子多孔質集合体の孔構造とその形成メカニズム
  3-4 無機ナノ粒子多孔質集合体の解砕強度
  3-5 混練時の熱可塑性プラスチック融体内部に発生するせん断応力(溶融混練法)
  3-6 各種熱可塑性プラスチック中への無機ナノ粒子集合体の解砕・分散(溶融混練法)
  3-7 かく拌された低粘性ワニス中での無機ナノ粒子集合体の解砕・分散(溶液混合法)
  3-8 無機フィラーナノ分散のためのキーポイント
4.異種粒子とのヘテロ凝集制御を利用した有機・無機ナノコンポジット調製法
  4-1 異種無機ナノ粒子混合水溶液のヘテロ凝集制御系
  4-2 無機ナノ粒子と高分子ラテックスナノ粒子のヘテロ凝集制御系
  4-3 シリカナノ粒子多孔質集合体の触媒担持体としての利用とプラスチック中への微細分散
5.有機・無機ナノコンポジットの各種特性とフィラー分散性の関係
  5-1 難燃性
  5-2 熱線膨張率
  5-3 ガラス転移温度
  5-4 結晶化現象
  5-5 耐衝撃性(動的破壊特性)
  5-6 引張り特性(静的破壊特性)
  5-7 その他(実操業での生産性に影響を及ぼす諸特性等)

(質疑応答・名刺交換・個別相談)