有機EL素子の開発動向と発光材料の解析評価技術

赤色発光する材料があれば、なぜそのような特定の波長の発光を示すのか?なぜ緑色や青色の発光も観測されなかったのか?なぜそのような量子効率や蛍光寿命の数値を示すのか?

有機EL素子の開発動向と発光材料の解析評価技術

主催:R&D支援センター

日時:2012年12月18日(火) 10:30〜16:30

【講座のポイント】
 本セミナーでは、主として有機EL事業参入を考えている企業の若い研究者に向けて、有機EL素子開発に必要な基本的事項についてわかりやすく述べる。

 高効率な有機EL素子の開発を進めるには先ず、発光分子がもつ光物性を知る必要がある。有機分子がなぜそのような光学特性や電気的特性を示すに至ったかを知る必要がある。例えば、赤色発光する材料があれば、なぜそのような特定の波長の発光を示すのか?、なぜ緑色や青色の発光も観測されなかったのか?、なぜそのような量子効率や蛍光寿命の数値を示すのか?、などについて理解を深める必要がある。そのためにどのような実験的理論的研究が必要かを説明する。

 素子開発に必要な量子力学的知識を含む基礎的事項や文献を読み解くテクニックについて述べるとともに、材料評価のための実験方法や解析方法を述べる。さらに、有機EL素子に電圧がかけられたとき、有機EL素子内で発光前、発光時、発光後に何が起こっているのかついて解説する。最後に、高効率化を目指す照明用白色有機EL素子開発の現状を筆者の研究を含めて紹介する。

【プログラム】
1.有機EL素子材料光物性の基礎
  1-1 有機分子からの発光のしくみ
  1-2 発光のための条件
  1-3 三重項禁止遷移からの発光のしくみ
  1-4 発光する有機物質と発光しない有機物質の原因
  1-5 電流注入による有機分子からの発光のしくみ
2.有機分子材料の評価 
  2-1 評価のための実験方法
  2-2 実験データの解析方法
3.有機EL素子のしくみ
  3-1 理想とされる素子構造
  3-2 発光層からの発光に至る電子過程
  3-3 低電圧稼働素子構造と特性
4.照明用白色有機EL素子の開発現状
  4-1 積層発光層方式
  4-2 単層発光層方式
   4-2-1 青色蛍光体+赤緑燐光体ハイブリッド方式
   4-2-2 単一発光材料による白色化
       エキシマー利用方式
       ホスト発光ゲスト発光利用方式
       多波長発光材料利用方式(低分子の場合、高分子の場合)
  4-3 低コスト化のための工夫
5.高効率化に向けた低電流稼働有機EL素子
  5-1 タンデム型有機EL素子の発光原理
  5-2 電荷発生層からの電荷発生のしくみ
  5-3 タンデム型有機EL効率の現状
  5-4 燐光蛍光ハイブリッド型白色有機EL素子

[質疑応答・名刺交換]