バイオプラスチックの規格・評価基準と研究開発の実際
バイオマスプラスチックの応用研究・開発をどのように進めるか?
主催:R&D支援センター
日時:平成22年1月26日(火) 10:30-16:30
第1部 バイオプラスチックの製品開発における標準規格 --生分解評価とバイオマス度評価--
≪講座趣旨≫
「環境にやさしい」とか「植物原料からできています」、「天然物由来」、「自然に戻ります」などの環境にやさしいことをイメージした製品が多く出回っている。その中には、きちんとした証拠もなく単なる宣伝文句として利用しているものもある。消費者の信頼を得るためには、低環境負荷型製品に対しては、きちんとした国際標準規格ISOや日本工業標準JISによる評価による認証が不可欠である。バイオプラスチック製品の開発において、重要な生分解評価法、バイオマス炭素含有率の測定法、各種認証法、特に日本バイオプラスチック協会の“グリーンプラ”マーク認証制度、“バイオマスプラ”マーク認証制度について詳細に説明する。また、米国、ヨーロッパのバイオプラスチックを取り巻く状況について説明する。
≪プログラム≫
1.バイオプラスチックとは?
1-1 生分解性高分子
1-2 バイオマス由来プラスチック
2.国際標準規格に則った生分解評価法
2-1 バイオプラスチックに関わる国際標準規格化の概要
2-2 コンポスト中での生分解評価(ISO14855-2, JIS K6953-2)
2-3 嫌気生分解評価法(ISO 15985, JIS K6960)
2-4 新しい嫌気生分解評価法の紹介(ISO審議中)
3.生分解性プラスチック認証制度
3-1 日本バイオプラスチック協会による“グリーンプラ”マーク認証制度
3-2 その他の安全基準
4.バイオマスプラのバイオマス炭素含有率測定法メカニズム
4-1 バイオマスにごく微量の放射性炭素14が含まれる理由
4-2 微量放射性炭素14濃度測定法
4-3 加速器質量分析
4-4 米国試験材料規格ASTM D6866による測定法
4-5 米国の優先調達プログラムの紹介
5.バイオマス炭素含有率の測定例
5-1 バイオマス原料の測定例
5-2 バイオ燃料(バイオエタノール)の測定例
5-3 バイオプラスチックの測定例
5-4 プラスチック複合体の測定例
5-5 測定精度
6.バイオマスプラスチック認証制度
6-1 日本バイオプラスチック協会による“バイオマスプラ”マーク認証制度
6-2 その他の安全基準
7.世界の市場動向
7-1 バイオプラスチックの市場動向
7-2 今後の展望
第2部 バイオマス由来ポリ乳酸の応用研究と最新技術・事業開発動向
--応用研究からいかにして事業開発につなげるか!?--
≪講座趣旨≫
近年の資源・地球環境問題の中で、既存の石油系プラスチックにとってかわる新しい次世代バイオプラスチックが注目されています。しかしながら、数あるバイオプラスチックの素材・技術の中でも技術開発に成功し、事業化まで到るものは極めて限られています。その成否を分けるものは一体何なのか?
それは技術に対する透徹した洞察力や厳しい原価(コスト)意識、そしてそれらを推進する非凡な技術者マインドとキラリと光る事業化戦略であろうと思われます。
本講座は単に最新の技術開発動向を紹介するだけでなく、実際に世界に先駆けポリ乳酸の20年以上に渡る基礎・応用研究から技術・事業開発までを成し遂げた実績のある講師(高分子学会フェロー)による渾身のセミナーです。もし、貴方(貴社)が技術・事業開発に確信が持てないのなら、一度日頃の思いを思い切り講師にぶつけてみませんか!
≪プログラム≫
1.ポリ乳酸の基本特性と最新技術開発動向
・数あるバイオプラスチックの中で、なぜポリ乳酸がベストの選択なのか?
・ポリ乳酸の分解制御機構…生分解性と耐久性の両立は可能か?
・ポリ乳酸は本当に環境に優しいのか?LCA手法による客観的・定量的評価。
・ポリ乳酸の耐熱性、耐久性、耐衝撃性はどのようにして改良されたのか?
・ポリ乳酸の耐熱性を高める上で、融点と結晶化速度はどちらが重要か?
・ポリ乳酸の成形加工技術(押出、射出、真空・圧空、発泡、ブロー)の現状は?
・ポリ乳酸はどのような製品、用途分野で実用化されているか?
・将来、ポリ乳酸が置き換えうるのは既存石油系プラスチックのどれか?
・ポリ乳酸のコスト(樹脂価格、加工コスト)はどこまで下がっているのか?
・ポリ乳酸に続く有望なバイオプラスチックは何か?それらの原料は?
2.技術者に必要な資質と能力とは?
・フロンティアスピリットとは?
・陽のあたる所に群がるな!先覚者はいつの世もマイノリティ!
・もう一つの専門領域を持て、ビジネスチャンスは学(業)際領域にある!?
・一流会社にいることに意味があるのではなく、一流の仕事をすることに意味がある。
・社内向きではなく、社外に向かって仕事ができるか。
・あなたは戦う前から敗北主義に陥っていないか?
・科学者としての観察力、審美眼、洞察力、そして展開力とは?
・あなたのコスト・原価意識は正常に機能しているか?
・成功者が具備する運・鈍・根とは?
・研究者・技術者としての敏感力と鈍感力、どちらが重要か?
3.基礎・応用研究から技術・事業開発において克服すべき諸問題
・科学と技術の超克すべき課題・・・個と全体の問題
・科学技術の下流化・・・まやかしや自己満足からの脱却
・技術・事業開発における「死の谷」、そして「ダーウィンの海」とは?
4.ポリ乳酸製品事業成功例に見るきらりと光る事業化戦略
事例研究:世界に羽ばたくポリ乳酸繊維エコバッグ“クナプラスR”
・はじめに卓越したデザイン戦略ありき(産官連携)
・地場産業企業群の技術力の結集(織り、プリーツ加工から染色まで)
・単なる一加工メーカーからの脱却と川下(最終製品)指向
・したたかな販売戦略(国内外の超有名美術館、セレクトショップでの販売)
5.何でもありのフリー・ディスカッション
・人もお金もない中で、会社からは性急に成果ばかり求められるが…。
・巷に溢れる玉石混交の情報の中で、一体何が本命なの?
・ステレオ・コンプレックス型ポリ乳酸は、本当に有望なの?