自動車・住宅・医療などの市場動向と熱可塑性エラストマーの最新技術

軽量、リサイクル可、製造ロスが少なく低エネルギー製造、時勢にあったTPE開発とは!?

自動車・住宅・医療などの市場動向と熱可塑性エラストマーの最新技術トレンド

主催:R&D支援センター

日時:平成22年1月27日(水) 12:30-16:30

≪講座趣旨≫
2007年2月IPCCは、温暖化は人類の活動が原因だと結論付けた。その後今日まで僅かの間に世界が激変した。オバマのグリーンニューディー政策につながり、ハイブリッド車があっという間にトップに立ち、2009年東京モーターショーでは一気に電気自動車の時代に突入した。ユーザーは製品に表示されたカーボンフットプリントを見て購入するようになった。LCA(ライフサイクルアセスメント)で製品評価される。
 技術者は生い立ちからリサイクル(廃棄)迄の二酸化炭素(CO2)排出量を鑑みて設計するようになった。軽量で且つリサイクルが容易で製造ロスが少なく低エネルギーで製造可能であることを考えると、ポリプロピレン(PP)射出成形品が増加したのもうなづける。超臨界流体を用いた発泡技術、電子線架橋技術による樹脂改質、バイオポリマーの導入、VOC低減のための水性化・無溶剤化による乾燥プロセスの抜本的な見直し等が進んでいる。
 こういう変化を知り、将来を予測して製品開発を必要がある。本講座では環境対応のための技術トレンドを明確にして、PP等の熱可塑性樹脂層やTPO等の熱可塑性エラストマーの応用と展開を解説しする。

<主な講義内容>
1.環境と最近のトレンド−現状と将来像の把握
2.各種熱可塑性エラストマーの、
3.従来材から熱可塑性エラストマーへの移行、
4.各分野への適用、
5.電子線架橋技術や超臨界発泡を中心とした最近の技術開発と今後の展開

≪プログラム≫
1.環境と最近のトレンド---現状と将来像の把握
 1-1.人と車のテクノロジー展2009
 1-2.NPE2009
 1-3.ANTEC2009
 1-4.東京モーターショウ2009
 1-5.タイ、台湾、中国、韓国、マレーシア等近隣諸国の状況
 1-6.まとめ:軽量化、バイオ、LCA(ライフサイクルアセスメント)、VOC(ボラタイルオーガニックコンパウンズ)、CO2等

2.熱可塑性エラストマーの概要
 2-1.従来タイプ
  2-1-1 オレフィン系(TPV、p-TPV、r-TPO)
  2-1-2 スチレン系(SEBS、SIS)
  2-1-3 ウレタン系(TPU<エステル系、エーテル系、ポリカ−ボネート系>)
  2-1-4 ポリエステル系(TPEE)
  2-1-5 塩ビ系 他
 2-2.新規熱可塑性エラストマー
  2-2-1 Dow Chemical(エンゲージ、バーシファイ、インフューズ)
  2-2-2 LANXESS(レバプレン)
  2-2-3 電気化学工業(新規スチレン系熱可塑性エラストマー
  2-2-4 Exxon(MZCR)
3.従来材から熱可塑性エラストマーへの移行
 3-1.軟質塩ビからの代替え 
    フタル酸エステル系可塑剤=内分泌撹乱物質、塩ビ=ダイオキシンの悪いイメージが
    定着してしまった事により軟質塩ビは非塩ビ化が進む。自動車や住宅等の密閉空間が顕著。
 3-2.脱溶剤化プロセスの時代へ
  3-2-1 ウレタン合皮の脱溶剤化への流れ DMFフリーがより顕著に
  3-2-2 表面処理剤の水性化動向
 3-3.熱硬化性樹脂・ゴムからの代替え
    ホルムアルデヒド等のVOC問題、リサイクル性、架橋反応による
    低生産性、臭い、大量の熱安定剤処方による白化現象等の問題を解消。
 3-4.省スペース・省エネプロセス
    オープンプロセス(カレンダー成形、コーティング成形、パウダースラッシュ成形)
    クローズドプロセス(射出成形、押出成形)/オーブン(乾燥炉)レスプロセスへ
4.各分野への熱可塑性エラストマーの適用
 4-1.自動車分野
  4-1-1 自動車内装表皮材向け熱可塑性エラストマー
      ・IP(インストルメントパネル)、ドア、コンソールボックス蓋、シートバック等成形品への適用の留意点
     a.配合(TPOの選定/ドアアッパー、コンソールボックス蓋は耐油性が要求される)
     b.押出し成形(押出機、Tダイの選定/リサイクル向上が利益を出すためのポイント)
     c.コロナ処理(コロナ処理機の選定)
     d.表面処理(表面処理剤と処理機の選定/水性化)
     e.絞押(ツートーン表現方法)
     f.成形(真空成形、低圧射出圧縮成形、パウダースラッシュ)
     g.物性(耐光、耐熱、低エミッション)
      ・シートカバー(座席)、トノカバー等レザー類への適用の留意点)
     a.配合(耐摩耗配合、難燃処方)
     b.耐摩耗性(架橋タイプ表面処理剤で補完)
     c.防汚性(白系のシートの増加)
      ・加飾部品
  4-1-2 外装(グラスランチャンネルのTPV化 他)
  4-1-3 エンジンルーム(射出成形可能なHNBRの登場)
 4-2.住宅(化粧シート、異形押出 他)
 4-3.電気(太陽電池封止材、スピーカーコーンエッヂ材他)
 4-4.その他(医療、ロボット等)
5.最近の開発技術と今後の展開
 5-1.射出成形 射出発泡成形
 5-2.SCF(超臨界流体)の応用。スイスSULZER社。
 5-3.熱可塑性エラストマーへの電子線照射技術。
 5-4.熱可塑性エラストマーの発泡技術。
 5-5.バイオエラストマーの開発状況。
 5-6.私の大学での研究。
6.今後の展開 2010年の展望。

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