レオロジー制御による押出不良対策と高性能材料の設計
レオロジー的な知見が押出加工を考える上でどのように役立つのか、加工不良を例にして考察する!
主催:R&D支援センター
日時:平成22年12月14日(火) 12:30〜16:30
【講座のポイント】
本講演では、まずレオロジーに関しては複雑な数式を使用せずにとても簡単に説明することで、その概念を理解していただきます。その後、レオロジー的な知見が押出加工を考える上でどのように役立つのか、加工不良を例にして考察します。また、レオロジー制御技術と加工技術を加えることで、新しい高性能材料および機能材料の設計が可能になることを実例と共に紹介します。
トピックスとして、結晶性高分子の透明化、分子配向による高靱性化・破壊形状の制御、延伸操作による複屈折制御フィルムの設計、極少量のCNTによる機能付与、新しい自己修復材料の設計など、幅広く最近の研究内容を紹介します。難しいレオロジーの知識がなくてもその考え方を活用することで、分子設計、材料設計に大きく役立つことを示す予定です。また、フィルム、シートなど、各成形方法への応用も紹介します。
【プログラム】
1.レオロジーの基礎
〜材料設計および加工制御に必要なレオロジーの基礎を理解する〜
1-1.線形粘弾性 〜粘弾性の基礎を理解し材料設計に役立てる〜
(1)応力緩和と緩和時間
(2)デボラ数と加工特性
(3)動的粘弾性
(4)熱レオロジー的単純性と活性化エネルギー
1-2.加工特性とレオロジー
(1)非ニュートン流体の流動曲線とその意味
(2)せん断粘度と伸長粘度 〜各成形加工における流動モードとその評価方法〜
(3)伸長流動特性の制御と加工特性の変化
〜スクリュー形状による押出加工特性の変化〜
〜伸長粘度のひずみ硬化性を高める新しい手法の紹介〜
(4)デボラ数と加工特性 〜フィルムの表面荒れ、メルトフラクチャーの理解〜
(5)メヤニ、フィッシュアイの原因と解析方法
2.分子配向制御の新展開
〜分子配向を高度に制御して材料設計に応用する〜
2-1.ポリプロピレンの高性能化
(1)配向制御によるPPの高透明化 〜分子配向状態と透明性の関係〜
(2)異常な分子配向を示す高耐衝撃性PPの設計
〜流れと垂直方向に分子鎖が配向したPPシート〜
〜結晶形態および分子配向状態を高度に制御して破壊靭性を大幅に向上〜
2-2.セルロースエステルによる光学機能フィルムの設計
(1)複屈折について 〜分子配向状態の解析、ディスプレイ用フィルムへの応用〜
(2)一次構造と複屈折の関係 〜複屈折の決定因子は?〜
(3)可塑化フィルムの動力学および位相差特性 〜低分子化合物による位相差特性の制御〜
(4)ポリマーブレンドによる材料設計 〜延伸しても複屈折を発生しないセルロース系フィルム〜
3.レオロジー制御によるその他の材料設計
3-1.複合化技術によるポリ乳酸の改質
(1)軟質ポリ乳酸の材料設計 〜軟質化のポイントと材料設計技術を紹介〜
(2)高結晶化、高耐熱化を目指した研究開発 〜微細繊維、結晶核剤を利用した結晶化促進方法の紹介〜
3-2.CNT複合材料
(1)ダイナミックパーコレーションによる分散状態の制御 〜CNT複合材料の特性を成形加工によって制御する〜
(2)CNT転写の新技術 〜ごく少量のCNTで導電ネットワークを形成する新しい技術の紹介〜
3-3.臨界点近傍ゲルを利用した新しい材料設計
(1)ゾル−ゲル転移の基礎
(2)自己修復材料の創製 〜架橋構造の制御により自己修復性ポリマーを設計する〜
【質疑応答・名刺交換】
キーワード:レオロジー,押出成形,高分子,分子配向制御,講習会,書籍