ゆるめないためのボルトの締め付け技術と強度向上策

従来の専門書ではほとんど扱われていない内容に重点を置いて解説する!ボルト、ねじの基礎を学び、実構造物へ応用して、事故を未然防止しよう!

ゆるめないためのボルトの締め付け技術と強度向上策

共催:R&D支援センター

日時:2011年7月7日(木)13:00〜17:00、8日(金)9:30〜16:30

<講師の言葉>
2007年5月の大阪のエキスポランドにおけるジェットコースターの事故、2008年4月東名高速道路における大型車の車輪脱落はいずれもねじ部の金属疲労が主要な原因で発生している。ところが通常の設計の考え方では、機器・構造物に要求される機能を優先するために、ボルト締結部の締め付け特性や強度に関する問題は二次的な扱いを受けている場合が多い。

 本セミナーでは、ボルトの力学の基礎と問題点、疲労強度の評価と向上策、トルク法、ナット回転角法をはじめとする各種ボルト締め付け方法、ボルト締結体が熱負荷を受けた場合の熱・力学特性、ねじ部非回転によるゆるみ、多数ボルトを逐次締め付けた時に発生する弾性相互作用をはじめとして、従来の専門書ではほとんど扱われていない内容に重点を置き、最近の有限要素解析と実験による研究成果、前述の大型車車輪脱落事故の撲滅を目指した研究の紹介を通じて、ボルト締結体に関する様々な問題に対処するために必要な基礎知識ならびに実用上有用な知識を教授することを目的としている。

<プログラム>
Ⅰ.ボルト締結体の力学の基礎を学ぶ
  1.ねじの基礎 −ねじの幾何学から力学の基礎まで−
  2.実験と解析によるボルト締結体の力学特性の評価手法
  3.ボルト締結体に関する解決すべき課題
    −応力集中、疲労強度、ゆるみ、締付け方法の選択、多数ボルトの締結、塑性変形・形状誤差の影響−
  4.ボルト締結体の力学の基礎 −応力集中、剛性、摩擦現象、熱負荷による軸力変化−

Ⅱ.ボルト締結体の強度評価とその向上策
  1.ねじ谷底の応力集中現象
  2.ねじ谷底応力集中の軽減方法 −座面の面取り、レセスめねじ他−
  3.完全なねじ山らせんモデルによる応力集中と応力振幅の有限要素解析

Ⅲ.各種ボルト締付け方法と軸力管理 −締付け特性と締付け手順−
  1.トルク法の見直し
    −摩擦の影響を考慮した締め付け指針、ねじ部トルク残留率、摩擦係数の測定、塑性変形他−
  2.弾性域回転角法 −接触面剛性を考慮した締め付け手順−
  3.油圧テンショナによる大型ボルトの締付け −接触面剛性を考慮した張力法の力学−
  4.ボルトヒータによる大型ボルトの締付け −接触熱抵抗を考慮した熱膨張法の力学−

Ⅳ.ボルト締結体の非回転ゆるみのメカニズムと締結部非分解による軸力検査
  1.「非回転ゆるみ」のメカニズムと軸力低下量の評価方法
  2.電磁加振法による締結部非分解によるボルト軸力の測定

Ⅴ.実際の構造物における問題点と現象の解明
  1.ボトミングスタッドの締付け手順と力学的特性 −数値解析による矛盾の解明−
  2.ディーゼル機関大端部のセレーション部の力学的特性の評価
  3.油圧機器用プラグの締付け特性とシール特性
  4.リーマボルトの力学的特性 −冷やしばめによる締付け、負荷容量に対するはめあいの影響−
  5.“接触熱抵抗”考慮したボルト締結体の熱・力学挙動の評価 −軸力変化と熱流れ−
  6.“接触面剛性”の影響を考慮したボルト締結体の固有振動に関する解析

Ⅵ.ライフラインを支えるボルト締結体 −管フランジ−
  1.管フランジが外力を受けた場合のボルト軸力変化
  2.管フランジ締結体の逐次ボルト締付けにおける軸力の弾性相互作用
  3.ボルト軸力のばらつき評価と最適な締付け手順の提案
  4.ガスケットの高温圧縮特性を考慮した管フランジのボルト軸力変化のシミュレーション

Ⅶ.ボルト締結体の締め付けと強度評価に関する計算演習
Ⅷ.最近の研究成果の紹介
  1.大型車の車輪脱落事故から学ぶボルトの締結に関する問題
    −ホイールボルト締結の力学的特異性、疲労強度評価、多軸同時締め付け装置の開発他−
     平成19〜21年度 (独)鉄道・運輸機構採択課題より
  2.異材界面における“接触熱抵抗”の特性評価とボルト締結体への応用
  3.多数ボルト締結体の締め付けにおける弾性相互作用と最適な締め付け手順
    −汎用構造解析コードによる解析手順の確立を目指して−