ねじ締結体の疲労強度向上とゆるみ防止技術

機械・機器の軽量化、長寿命化、高信頼化のための講座。「ゆるみ」をはじめとするトラブル発生のメカニズムを事例を基に詳解し、締結・接合部位の局部応力解析・汎用的な強度評価を活用した設計法を修得、締結・接合部の強度向上、不具合防止策に活かそう!

ねじ締結体の疲労強度向上とゆるみ防止技術 〜演習付〜

共催:R&D支援センター

日時:2011年8月2日 (火) 10:30〜17:30

[講師の言葉]
機械・機器の破損の多くは締結・接合部に生じている。特に最近は同様な事故が繰返し起こっていることに注意が必要である。例えばトレーラハブの事故での教訓があったにも関わらず、最近ゆりかもめ車軸ハブの同様な事故が繰り返される状況、ボンバルディア航空機の主脚収納扉ヒンジボルトのゆるみトラブルによる不時着事故があったにも関わらず、チャイナ航空機スラットボルトトラブルによる油漏れ炎上事故が起こる状況、ジェットコースター車軸ボルトでの類似事故の発生、等を見るに、これらの技術早期確立は機械エンジニアの社会的責任とも考えられ る。

 問題はこれらの締結・接合部は力の流れが乱れ、特に接触部位の力学解析は困難であったため、局部の力学解析から逃げマクロ的な実験データ及び経験の蓄積に基づいて設計されてきたためである。

 最近接触問題も精度よく解析できる有限要素法応力解析ソフトも出回り、これら締結部位の局部応力解析が可能となり締結・接合部位の汎用的な強度評価が出来るようになった。

 今回のセミナーは特にねじ締結体に焦点を当て、この局部応力解析に基づいたゆるみ評価、強度評価を行う。またこのセミナーでは初心者にもよく理解していただけるように分かりやすい事例を中心に解説し、最後に CAEへの適用例についてまで話します。機械・機器の軽量化、長寿命化、高信頼化に向けて強度設計、生産技術、品質保証、保全に関わる技術者に聴いていただきたいセミナーです。

[プログラム]
1.構造強度上の継手部の重要性
2.機械的締結部の力学とトラブル
  2-1 ねじ締結
  2-2 リベット締結
3.ねじ締結体の設計の流れ
  3-1 初期締付けの力学(ばらつき)
    a.トルクレンチ
    b.回転角、トルク勾配法
  3-2 負荷に対応したねじ締結部の力学
    a.軸方向負荷(内力係数、荷重分担)
    b.軸直角方向負荷(限界すべり量)
  3-3 疲労強度評価
  3-4 ゆるみ評価
4.ねじ締結体の疲労強度向上法
  4-1 ボルトの対策(伸びボルト、不完全ねじ部)
  4-2 ナットの対策
  4-3 塑性域締付け法
5.ねじ締結部のゆるみのメカニズムとゆるみ防止技術
  5-1 非回転(へたり)ゆるみ
  5-2 回転ゆるみ
6.ねじ締結体設計の常識とうそ
  6-1 座金の善悪
  6-2 ダブルナットの効果
7.CAD-CAE一貫設計ツール
8.演習問題
9.質疑討論