金属材料における疲労とFEMによる疲労解析・寿命評価
疲労の基礎から耐疲労設計、解析のデモを用いて分かり易く解説する!機械、構造物の破壊事例の原因の半数以上を占める疲労の基礎を学び、FEMを用いて設計や保守・保全業務に大きな効力を発揮させるための特別講座!
金属材料における疲労とFEMによる疲労解析・寿命評価 〜デモ付〜
共催:R&D支援センター
日時:2011年8月25日(木) 10:30〜17:30
[講師の言葉]
各種の事故統計によれば、機械・構造物の破壊事例の原因の半数以上は疲労と報告されています。また、長く低迷している日本の経済状況により、産業界では機械・構造物の長期使用を目指す傾向が強くなってきていると思います。この場合、機械・構造物の経年劣化を避けることができませんが、疲労はこの経年劣化事象の代表例として考えられています。実際、過去に報告されている事故でも、大小を問わず、疲労が関係した事故が多くあります。しかし、大学や専門学校では、疲労まで教えられることが少なくなってきているのが現実です。実際に機械・構造物を設計する場合、または保守・保全活動を行う場合、疲労に対する考慮をしなければならないのに、疲労とは何か、どんな対策を打てばよいのか、よく分からないといった場合が多いのが現状と思われます。
本講義では、主に金属材料の疲労について説明します。まず、金属疲労とは何か、何が原因で起こると考えられるかなど、金属疲労に関する基礎知識の説明から始め、疲労に影響を及ぼす諸因子、実機への疲労解析法や評価法の適用例などについても言及します。
また、最近、設計用ツールとして普及の目覚ましい有限要素法(FEM)を用いた疲労解析のデモを専門家にお願いしましたので、FEMソフトによる疲労解析の実際を見て頂くこともできます。FEMの疲労解析への活用は、実務で遭遇する実働荷重を考えなければならない場合、設計や保守・保全業務に大きな効力を発揮すると考えられます。
ただし、FEMソフトは、確かに、疲労解析や寿命予測を行う際、強力で便利なツールとなりますが、他方で実機の設計の際、FEMソフトによる計算だけに頼るのは危険なことが多くあります。そこで、本講座では、FEMソフトによる疲労解析や寿命予測を行う場合、注意しなければならない点についても説明を加えるよう企画しています。
本講座が日頃の機械・構造物の設計業務、保守・保全活動の向上にお役に立てれば幸いです。
[プログラム]
Ⅰ.金属疲労の基礎
1.金属疲労の基礎知識
a.静的破壊と疲労破壊の違い
b.疲労破壊の事例
c.破壊事故の原因
d.疲労強度の評価と寿命予測―S-N線図―
e.S-N線図に及ぼす諸因子の影響
f.平均応力の効果―ガーバー線図等―
2.実働荷重下の疲労の取扱い
a.変動応力振幅疲労
b.ランダム疲労
c.線形累積被害側(Miner’srule)
d.組合せ負荷
3.疲労き裂の取扱い
a.き裂発生寿命と進展寿命
b.き裂の停留
c.破壊力学的取扱い
(1)応力拡大係数
(2)疲労き裂進展特性−パリス則−
(3)微小き裂問題
d.クラック・アレスト
Ⅱ.各種機械・構造物における耐疲労設計
1.溶接構造物
2.車両
3.航空機
4.電子機器
Ⅲ.FEMによる疲労解析デモ
1.一定応力振幅疲労解析のデモ
a.応力解析
b.S-Nデータの入力
c.疲労寿命のコンター図
d.安全係数値のコンター図
2.ランダム疲労(変動応力振幅疲労)解析のデモ
a.レインフロー法による応力波の計数
b.Goodman線図による平均応力の影響の評価
c.レインフロー・マトリックス
d.損傷度マトリックス
e.疲労寿命のコンター図
f.安全係数値のコンター図