衝撃応力および衝撃破壊の基礎と実験・計測法

衝撃問題の基礎を学び製品開発、生産や耐衝撃性の強い構造物の構築へと活かせ!

衝撃応力および衝撃破壊の基礎と実験・計測法

共催:R&D支援センター

日時:2011年10月26日(水)10:30〜17:30

[講師の言葉]
去る3月11日に発生した東日本大地震では、東北地方太平洋沖の岩盤が、南北500km、東西200kmにわたってせん断(ずれ)破壊を起こしました。破壊の進行速度は秒速3〜4kmであり、まさに巨大な衝撃破壊です。
 衝撃問題に関する研究は、これまで主に3つの観点から進められてきました。ひとつは、タンカー、橋、原子炉などの巨大構造物の破壊防止であり、社会基盤の安全保障の観点です。2つ目は生産現場の高速化です。生産速度の上昇にともない、衝撃問題の重要性が増してきています。3番目は医療への応用です。手術なしで治療する衝撃波結石破砕術は、その好例でしょう。 
 衝撃現象は破壊の問題と密接に関連しており、未解明の問題も多く残されています。本セミナーは、「衝撃現象は静的問題と何が違うのか?」「衝撃現象の実験・計測法はどの様なものか?」をテーマに、衝撃問題の初学者を対象に開催します。実験・計測法に関しては、最も標準的な方法と新しい方法を紹介します。

[プログラム]
Ⅰ. 衝撃問題の基礎(衝撃問題と静的問題は何が違うのか?)
  1.応力波の発生,伝播,反射
  2.応力波の反射と破壊(衝撃疲労は通常の疲労破壊と違うか?)
  3.材料物性値(ヤング率,破壊靭性値等)のひずみ速度依存性
  4.静的破壊と衝撃破壊:なにが違うのか?
Ⅱ. 衝撃実験法(衝撃負荷装置,測定とその問題点)
  1.シャルピー試験機による測定と破壊力学
  2.ホプキンソン棒法とひずみゲージによる衝撃物性値の測定
Ⅲ.光測定法
  1.なぜ光測定法が必要なのか?
  2.高速度カメラ,高速度ビデオ(衝撃計測における必需品)
  3.シャドーグラフ法(最も簡単な光測定法)
    a. 水中集束衝撃波による腎臓結石の破砕治療
  4.コースティック法(動的応力拡大係数の最も有名な測定法)
    a. 衝撃応力によるき裂進展開始は、静的応力と違うか?
    b. 高速破壊は、どの様な条件で停止するのか?
  5.ホログラフィ顕微鏡法(高い解像力を持つ新しい方法)
    a.秒速500mで進行するき裂先端の写真
    b.き裂が分岐するとき、エネルギー解放率は連続か?