車載パワーモジュールの信頼性設計と高耐熱実装の信頼性評価技術

設計初期に予め問題となる疲労部位やそのメカニズムを正確に予測しながら構造を決定する信頼性設計。EVやHEV用のパワーモジュールの高効率な信頼性設計法を先取り、高い信頼性と大幅な小型化への要求に対応しよう!

車載パワーモジュールの信頼性設計と高耐熱実装の信頼性評価技術

共催:R&D支援センター

日時:2011年9月15日(木) 10:30〜16:30

[講師の言葉]
近年、地球温暖化などグローバルな気候変動の問題が深刻化しており、エネルギー利用によって生じる環境負荷の低減を目的として、ハイブリッド自動車(Hybrid Electric Vehicle:HEV)や電気自動車(Electric Vehicle:EV)などクリーンエネルギーを利用できる電気駆動車両の開発が加速している。これらの車両の基幹部品であるパワーモジュールには、高い信頼性と併せて更なる小型軽量化と低コスト化が求められる。さらに、今後、多種多様なHEVやEVを短期間で開発していくために、効率的な設計手法が要求される。従って、車載モジュールの開発においては、設計後の耐久試験によって問題が発生した場合に構造を再検討する“フィードバック型”の設計ではなく、設計初期に予め問題となる疲労部位やそのメカニズムを正確に予測しながら構造を決定する“フィードフォワード型”の信頼性設計の手法が重要になる。

 本講演では、最近、車載されているパワーモジュールの実装技術の動向を確認しながら、これらに要求されている機能や性能について説明する。その後、これらのモジュールの信頼性設計の手順と今後の課題について述べる。さらに、SiCパワーデバイスを用いた高耐熱実装の実現に向けて、モジュール小型化への可能性と解決すべき課題、および、基盤技術となる熱疲労信頼性評価において我々のグループで実施した検討結果を紹介する。

[プログラム]
1.電動車を取り巻く環境とパワーモジュールの進化
  1-1 電動車を取り巻く環境
    a.地球温暖化の問題と課題
    b.電動車の特徴
    c.電動車の基幹部品とその役割
  1-2 車載パワーモジュール(PM)の開発動向
    a.PMの車載アプリケーション
    b.PMの実装技術とその課題
    c.車載PMの進化の特徴
2.車載パワーモジュールの信頼性設計
  2-1 設計のための信頼性評価とは
    a.信頼性とは
    b.信頼性評価の概念
    c.市場ストレスと信頼性試験の項目
  2-2 信頼性設計における課題
    a.信頼性の問題
    b.信頼性設計における問題と課題
    c.信頼性設計フローと注意点
3.SiC高耐熱実装技術と信頼性評価技術
  3-1 SiCデバイスの高耐熱実装における課題
    a.SiCデバイスのメリットと小型化ロードマップ
    b.高耐熱モジュールの問題点
    c.信頼性を確保するための応力緩和構造とその課題
  3-2 課題に対する取り組み
    a.定量的な信頼性評価技術
    b.解析のための実用的な材料評価技術
    c.設計のための高度な解析技術