ボールねじ技術の基礎と事例によるトラブル対策

ボールねじの特性を十分把握し、使用条件に応じた選定で機能をフルに発揮させるためのノウハウを伝授する特別講座!超高精度な位置決めの際に重要なボールねじの玉挙動とロストモーションの関連性発生要因の解明に役立てよう!

ボールねじ技術の基礎と事例によるトラブル対策

共催:R&D支援センター

日時:2011年9月21日(水)  10:30〜17:30

[講師の言葉]

近年、ボールねじの応用分野は、制御技術やIT技術の飛躍的な進歩に伴い、ますます拡大する傾向にあり、製品開発や設計・製造に携わる技術者がボールねじと関わる機会が増大しています。それは、従来の機械、機器や生産設備に対して、新たにボールねじ電動サーボを組み込んだり、あるいは置き換えたりする事例が着実に増えつつあるからです。

 ボールねじの性能をフルに発揮させるためには、まず始めに、ボールねじの仕様と使用条件とのマッチングです。専門メーカのノウハウに基づいた、カタログには表れない内部設計による調整も不可欠です。マッチングが十分になされた場合であっても、振動、騒音、温度上昇の発生に悩まされたり、潤滑不良、異物混入による早期摩耗等のトラブルに直面された方もいらっしゃると思います。

 このセミナーでは、まずボールねじの特性を十分に把握していただき、その上でユーザ自身がボールねじのマッチングを行えるよう基礎的な事項について講述します。また、性能劣化やトラブルの原因究明とその問題解決を行うための方策についても事例を交えながら解説します。さらに、最近の研究事例としてロストモーション発生要因の実験的検証ならびに射出成型機用高負荷ボールねじの玉間接触荷重の測定例などを詳解する。

[プログラム]

1.基礎編
  1-1 構造と種類
    a.玉循環方式
      ・チューブ式
      ・こま式
      ・エンドキャップ式
      ・その他
    b.ボールねじ以外の転がりねじ
  1-2 ボールねじ構造の幾何学
    a.玉荷重の作用線
    b.軌道のずれ
    c.玉の食込みとすべり
  1-3 ねじ精度と表面粗さ
    a.リード精度
    b.ねじ径精度
    c.ねじ溝曲率
    d.表面粗さ
  1-4 接触応力と変形量
    a.Hertz理論
    b.第一種・第二種完全だ円積分
    c.応力分布と最大Hertz応力
    d.接触弾性変形量
  1-5 玉荷重分布
    a.ねじ軸端末条件
    b.ミスアライメントの影響
  1-6 予圧と剛性
    a.予圧方式
      ・定位置予圧
      ・定圧予圧
      ・オーバサイズ球予圧
      ・インテグラルリード予圧
    b. 剛性の向上
  1-7 駆動特性
    a.摩擦特性
    b.摩擦係数と機械効率
    c.揺動摩擦特性
    d.スペーサボールとセパレータの効果
  1-8 転がり疲れと信頼性
    a.転がり軸受寿命理論の流用
    b.ボールねじ固有の諸問題
    c.基本動定格荷重の推定
2.応用技術編
  2-1 規格
    a.現行JISとISO
    b.ボールねじの取付部精度
  2-2 許容回転数
    a.軸端支持条件と危険速度
    b.dmn値
  2-3 静的許容荷重
    a.基本静定格荷重(永久変形)
    b.軸端支持条件と座屈荷重
  2-4 振動と騒音
    a.振動・騒音の発生要因
  2-5 最近の研究事例から
    a.高負荷用ボールねじの玉間接触荷重の測定例
    b.ロストモーション発生要因の実験的検証