スティックスリップ運動のメカニズムと対策およびCAEの利用技術

機械に対して破壊的な影響や商品性をなくすスティックスリップの対策方法を修得し、製品開発へ活かそう!

スティックスリップ運動のメカニズムと対策およびCAEの利用技術

共催:R&D支援センター

日時:2011年10月27日(木)10:30〜17:30

[講師の言葉]
摩擦の作用により発生する振動、いわゆる摩擦励起振動の代表的なものにスティックスリップ運動があります。スティックスリップ運動が発生すると、なめらかな運動を想定して設計したはずの摺動面に振動が発生して、製品の寿命や性能が損なわれる場合があります。また、寿命や性能に影響を及ぼさなくとも、発生する振動や騒音が製品の快適性を損ない、その商品性が失われてしまう場合もあります。
 そこで本セミナーでは、スティックスリップ運動のメカニズムを理解して、的確な対策を講じるために必要なふたつの学問、すなわち「トライボロジー」と「振動学」の基礎からスタートして、スティックスリップ運動の考え方と捉え方、およびそれを回避するためのシステム設計について、できる限りわかりやすくレクチャーします。また近年、ものつくりの現場でCAE(Computer Aided Engineering)が積極的に利用されていることを鑑み、スティックスリップ運動の要因把握と対策のためのCAE利用についても概説します。

[プログラム]
Ⅰ. プロローグ
  ・スティックスリップ概論
Ⅱ. トライボロジーの基礎
  1.古典的な摩擦の法則
  2.表面粗さと真実接触
  3.弾性接触と塑性接触
  4.潤滑の形態
  5.静止摩擦の時間依存性
  6.動摩擦のすべり速度依存性
Ⅲ. 摩擦の作用を受ける振動系
  1.振動系のモデリング
  2.不減衰系の振動
  3.粘性減衰系の振動
  4.平衡点の安定性と自励振動
  5.摩擦減衰のエッセンス
Ⅳ. スティックスリップの理論
  1.システムの低自由度モデリング
  2.支配方程式とパラメータ
  3.スティックスリップの形態
  4.スティックスリップの発生限界
Ⅴ. 接触摩擦問題に対するCAE
  1.モデリングのエッセンス −有限要素法を中心に−
  2.固有値解析
  3.時刻歴応答解析
  4.有限要素法以外のCAE
Ⅴ.スティックスリップ運動に対するCAE
  1.すべり摩擦現象のモデリング(摩擦構成則)
  2.いくつかの速度・状態依存性摩擦モデル
  3.モデルパラメータと摩擦試験
  4.有限要素法を用いた時刻歴応答解析例
  5.CAE適用の意義と限界
Ⅶ. エピローグ
  1.システムデザインに向けたまとめ
  2.今後明らかにすべきもの